今回の記事は、劇的に改善さえれた事例と、その方法について書いていきます。
記事が長いので、予めご了承を。。
今回記載している業種に関しては、
- 全国対応の物販、ECショップ
- 商品数が3,000点ぐらい
- 検索連動型広告のみで運用
- 変えられるのは広告のみ(ホームページ修正はなし)
※私が運用している中でも、かなり大きく改善ができたもので、全てのアカウントがこのような数字になるわけではありません。
※現在はディスプレイネットワークも活用していますが、分かりやすいようにYahooのみの検索連動型広告で比較しています。
※CPAと記載をしていますが、ネットショップなのでCPOになります。
クライアント様からの要望
では、以前の状況から・・・
- 新規顧客数をもっと増やしたい
- 顧客獲得単価(CPA)を3,000円以内にしたい。
目標をはシンプルですね。
以前のアカウントを見て感じたこと
平均クリック単価(CPC)は非常に安いと思うが、コンバージョン率が非常に低い。
原因として考えられるのは
キーワードに関しては少し大雑把で、少し遠いキーワード(ディスプレイネットワークで使うようなキーワード)が多い。
広告に関しては、訴求はできているが、詳細までは伝えられておらず、コンバージョン率を下げている可能性がある。
事前の目標
少し遠いキーワードは除外をし、関係するキーワードを増やしてインプレッションを2倍にする。
広告を差別化し、リンク先URL(商品ページ、カテゴリページ、トップページなど)をキーワードレベルで見直しを行い、クリック単価を抑えながらクリック率を維持して、コンバージョン率を1%へ。
予想通りいけば、広告費は2倍ほどになるが、新規顧客数(ユニークコンバージョン)は5倍ほどの200件ぐらいまで伸びるかな・・・というものでした。
改善1、キーワードの設定
コンバージョン率が悪いもの(少し遠いキーワード)は全て省き、その代わりに細かく設定をしました。
キーワード数は6,000 → 15,000 ぐらいに増やしています。
設定されていないキーワードも増やしましたし、細かくも設定しています。
また除外についても、かなり追加しています。
改善2、広告文の調査&設定
商品名での購入者が多いと予測できたので、競合との価格調査を行いました。
その結果としては、
「価格だけでも戦えなくはないかな・・」
決して、全ての商品が最安値なわけでもないけど、高すぎるわけではないし、他の強みもあるからいけるな・・と判断。
(商品名で検索してくるが、他の商品も一緒に買うような商材です)
商品名での検索は、分かりやすいように全て価格を入れるという作り方で、その他強みを入れて作ることに決定。
(商品が3,000種類ほどあるので、3,000個全ての商品ページを見ながら設定しました。心が折れそうでしたが・・・)
改善3、キーワードによってのリンク先を考える
目的の商品への導線を考えながら、今回は商品やキーワードによって設定。
強みをしっかりと伝えた方がよく、すぐに商品ページまでにたどり着けるものはトップページへ。
同じような商品が多くある場合は、カテゴリページへ。
「この商品を求めてるんだよ!」というキーワードは、商品ページへ。
改善4、テレビ番組に合わせてキーワード設定
商材に関連するテレビが週に1度放送されていることを知ったので、そこで紹介されたものに関しては、テレビ用としてキーワードの設定。
視聴率がどれぐらいかは分からないが、番組表を見ながら放送前に設定。
結果発表!
運用を開始して、2日間の結果は・・・
広告費 約4倍
クリック数 3倍
クリック単価 1.3倍 (21円 → 27円)
コンバージョン率 約2倍 (0.37% → 0.7%)
コンバージョン件数 約6倍
新規顧客獲得単価 82% (5,787円 → 3,857円)
ヤバイ・・・ヤバ過ぎる。
パフォーマンスは決して悪くないけど、広告費4倍に関しては、ちょっと問題だし、顧客獲得単価(CPA)も目標の3,000円以内になっていない。
予め「最初は広告を広げます」と伝えてあるにしても、こんなに広告費が膨らむとは思っていませんでした。
良かった点としては、思った以上にインプレッションが伸びたこと。
クリック率は、ほぼ変わらずだったにも関わらず、クリックは約3倍集めることができた。
悪かった点は、コンバージョン率。
目標は1%と設定していたのにも関わらず、0.7%でストップ。
ここは、再考する必要があるな・・と。
一旦、広告を絞りながら運用してデータを収集することへ・・
さらなる改善1、クリック単価を大きく抑える
数日間、運用をしていて、
「この商材は2~3社が物凄く力を入れているのではないか」
ということを感じました。
掲載順位によって、大きくクリック単価が変わっていたのです。
「数を取りにいくのであれば、上位に広告を出す方が良いが、他の競合の広告文は似たものが多いし、掲載順位を落としてもクリック率はそれなりに維持できるのではないか?」
と、考えたわけです。
その結果は・・・
CPC 27円 → 9円 まで下がりました。
ここで書いていることは簡単ですが、キーワードを見ながら調整をしていくのは、個人的には
「職人技だと思っています」
そこにはもう血もにじむような努力が・・・
今回の運用結果を確認
CPCを下げることで、圧倒的なパフォーマンスを出すことができました。
新規獲得件数は43件 → 201件と、463%になりましたし、
新規獲得単価は 5,787円 → 1,382円と約76%ダウンしました。
けれど、実はこれで終わりではありません。
さらなるパフォーマンスを目指して
筆者は、運用をしていて一定のデータが溜まったところで、再構築を行います。
普段の最適化では、なかなか見つけられない部分まで細かく分析して、全て作り直します。
その結果がコレ
(データが最新すぎて、まだ5日分のデータしかありません・・・)
おそらく、月間のユニークコンバージョン数も1.2~1.3倍ほどになるし、新規顧客獲得単価1,000円ほどになりました。
(ちなみにGoogleのCPAは904円です。)
この状態で、さらに最適化をしていけば、1件700円ぐらいまではいけるのかな・・・とも感じています。
自分が作ったアカウントを再構築する方法については、ここでは書ききれないので、機会があれば新たな記事として掲載したいと思っております。
ここまでパフォーマンスは上がっていますが、まだこのアカウントには大きな問題も残っています。
掲載順位が4.8位なのを考えると、損失が生まれてしまっている可能性が高いです。
例えば、現状で月に250件なのに対して、掲載順位が2位であれば400件取れるかもしれません。
もちろん掲載順位を上げれば、クリック単価・顧客獲得単価は上がりますので、戦略を考える必要はありますが。。
今は、顧客獲得単価を下げられるところまで下げて、損失が生まれてしまっているだろう部分に関しては、その後対応をしていく予定で考えています。
また、コンバージョン率も0.79%なので、1%に上げるには、広告の改善や無駄なキーワードの削除が必要です。
その他、できる部分はまだまだ多いかと思います。
今回、お伝えしたかったこと
お伝えしたかったことは、運用者によってここまで結果に差が出るということです。
運用をしている会社、いや、運用を担当している方のスキルで、結果は大きく変わります。
私ごとですが、最近・・
「PPCの運用代行って、誰がやっても同じじゃないの?」
と、複数人から言われたこともあり、この記事を書きました。
ここまで大きな差が出ることは少ないですが、運用者によってパフォーマンスは必ず変わります。
PPC(リスティング)広告は、そういうものだと知ってもらえれば幸いです。
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この記事を書いた人桜井 茶人(さくらい さと)
株式会社バルワードの代表。
リスティング広告の専門家でありながら、集客全般を見れるマーケター。
- Googleプレミアムパートナー
- 著書:リスティング広告のやさしい教科書